『ミッション:8ミニッツ』

先月レンタル開始となった「ミッション8ミニッツ」。原題は「Source Code(ソースコード)」

ソースコードとは,量子力学に基づく複雑なプログラム。

わかりやすく例えた劇中のセリフを書き起こすと、「電球を消した時に光の残光を見ることができる。脳も同様で、地場や神経回路は死後も一時的に活動を続けている。脳のもうひとつの特徴は、活動状態が保存されていること。防犯カメラの映像のように最後の8分間の活動が記録されている。脳のこの2つの現象を、死後も活動する神経回路と、8分間の記録を一体化したのがこのプログラム(ソースコード)時間旅行ではなく、時間の再割り当て。平行世界へのアクセスを可能にするもの。」


つまりパラレルワールドのお話。

そしてこの映画を撮った監督は以前こちら で紹介した、ダンカン・ジョーンズ。デビュー作で大成功し、2作目となる今回はハリウッド大作に挑んだわけです。こうやって初回作で成功を収めると、次回作からハリウッドからお金をだしてもらえるのですが、その映画を作る上での主導権はハリウッドが握っている。ハリウッドが求めるのは娯楽性、商業性であるので、それがない脚本は書き換えられる。そうすると監督が本来作品に込めたかった意図は無視され、結局はハリウッド主体の映画になってしまう。というような流れでハリウッドデビュー失敗し、評論家から酷評される監督はたくさんいて、このブログでも以前紹介した「スラムドッグミリオネア」「127時間」のダニー・ボイル監督も、初期作品「トレインスポッティング」で成功した後、ハリウッドで撮った「ザ・ビーチ」で失敗しどん底に突き落とされた経験あり。その苦い経験によって自国イギリスへ戻り、また一からやりなおして再び返り咲き今に至っている。


で、今回のダンカン・ジョーンズ監督のハリウッドデビュー作がこちら


ダンカンさんは押井守監督の大ファンらしいですね。(押井守監督の「攻殻機動隊」「イノセンス」を観てない人は時間のある時にでも)まさにここで描かれているのは他人の記憶を疑似体験するという電脳世界。。

ジャンルとしてはサスペンスとアクションとロマンス、ドラマを見事に一体化した傑作!謎解きに関しては最初の方でわかってしまうからどうでもよくて。人間ドラマが主体となる。

虚構の世界を生きること、はたまたお金が絡むと生きた人間でさえもモノとして扱ってしまう人の狂気、そして人が人を救うと世界はどう変わるのか。そして一番大事なのはその救い方にこそある・・・。


結局世界では、各々がやるべきことをやって、なすべきことが成されているのだけど、そんな時間の流れ(パラレルワールドの)を、例えば川の流れと重ねて視覚化して観ることができるのならばそれと同様、例えば人を救う時にそのイマジネーションでもって自然の摂理へ導かせることでパラダイムシフトできる。無謀とも思える挑戦でも本人がそれを信じて疑わないならば、実際のこの世の中においてでも良い方向へ進むようプログラムを書き換えれることができるのでは。


個人的には、ラストのちょい手前のフリーズした場面でエンディングロールに入って欲しかったという思いが強かったりしたのだが、どちらにしても、この作品でダンカン・ジョーンズが好きな監督の一人に加えられることとなった。やはり宇宙人の息子の才能はすごい。