「灼熱の魂」
これは生半可な心持ちで観る映画ではないね。
憎しみの連鎖を描いた作品は色々観てきたけども・・・
アカデミー賞ノミネート作品。
宗教色が強いからノミネートに終わったのだろうと思えるくらいにこの作品はめちゃくちゃ重い。
ちなみに近くのゲオには1本のみ貸出中。
新作で、しかもこんなにも素晴らしい作品なのに1本だけって・・・ゲオに憎しみが湧く。ウソ。
内容が重いから仕方ないとして、でもこんな作品は初めてのような気がする。
ほとんど人は、悲劇過ぎて嫌になるとか、観ていて疲れる、救いようがないといった感想が多いようだけど、個人的にはその逆だった。確かに重すぎて泣けはしない。しかし、”悲劇”にありがちなラストのモヤモヤ感はなく、ただ沈黙をするしかなかった。スーっと終わる。ラスト直前までの曇り空は沈黙によって晴れ渡り、解放されたのだと感じる。
最初から悲しみと憎しみに満ちていた。そして最後に無くなった。
すごい。
観ない方がいいけど、世界の「悲劇」をもっと観ておいた方がいいと思ったりもする。
印象に残ったセリフ
・有名な”ケーニヒスベルクの7つの橋の問題 ”で、盲目ながら数学的な解決を見出したレオンハルト・オイラーが、無神論を唱えるディロイドにこう言った。
「閣下、eiπ+1=0 ゆえに神は存在する。」
・「避けられぬものに抵抗してはならない。事実を知るべきだ。でないと心に平和は訪れない。」
ということは、心が平和でないと( )できない。→( )に入る言葉は何か。
・「言葉と書物が平和を築くと信じてた。でも現実を思い知った。」
世界中が騙し合っている。
現在の日本で、新聞やテレビのニュースで発せられている言葉を全て信じているとしたら、現実を思い知るのはコトが起こってからだといえる。人間はいつもコトが起こってから次の行動にでる。
そして、覚えておきたい。憎しみを持った時点で、その連鎖はすでに始まってしまっているということ。
サウンドトラックも素晴らしく、中でもレディオヘッドの曲が耳に残る。そちらは次回に紹介。