ブッダ

手塚治虫のブッダ救われる言葉 (知恵の森文庫)/手塚 治虫
¥580
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”幸福な生き方とは?真の人間らしさとは?死後の世界とは?生命の尊さとは?巨匠・手塚治虫が12年間かけて描いた「ブッダ」の作品中から、勇気を与えてくれる言葉、心を癒してくれる言葉を集大成。非暴力、平和主義、ヒューマニズム・・・・・。宗教的カリスマとしてではなく、哲学者としてもブッダの広大な思想に迫る。”                                     


                                               本書紹介文より


                                    
先日、書店で目に飛び込んできたこの本。飛び込んできた訳はというと、最近になって「ブッダ」の漫画本を読み直したくなって自宅にあったはずのものを探したが見つからず、諦めていた時にこの本に飛び込まれたワケです。

そしてその場で購入、とはいかず、Amazonで検索すると中古本が27円であったのでそちらで購入。

手塚治虫氏は最強だ。中でも有名な「ブラックジャック」「3つ目がとおる」「ブッダ」などは無条件で好きです。といっても嫌いな人はいないだろうけど。

氏の作品は人間愛の光で溢れている。しかしそれはとてつもない苦しみが描かれているからこそ光が見えるわけで。苦しみの裏には幸せがある。善があるから悪もあるように。全て必要だから存在する。


まあでもそんなことが分かっててもあれこれ思い悩むのが人間。いっそのこと馬鹿になれればと思ったりもするが、それは虫になることで解決する。ここで虫を選んだのは、手塚治虫さんが昆虫マニアだったからなんですが”なる”のは花でも木でも石でもいいと。とにかく自然に帰るということ。その方法の1つとして座禅が生まれたのだと思う。

第一に”ヨーガ”こそがそれであるわけです。ヨガ式呼吸をしながらいろんな動物のポーズをとるという、本格的にやると肉体的にハードなもので、トラやヘビやワシなど動物特有の動きを呼吸法と組み合わせて心身のバランスを調整する目的があり、ルーツはご周知の通りインド。


仏陀はインド生まれで仏教を生んだ人です。現在に伝わる日本の真言宗だとか日蓮宗、そして道元禅師の曹洞宗などは仏教から派生したもの。

インドは3500年も前に身分制度が生まれ、それにより苦しむ人々が常に求めていたであろう「幸せな生き方とは」という問に光を持って答えてくれることになるのがシャカ国の王子として生まれたシッダルタ(ブッダの本名)だったのです。

ご存知のとおり、インドの身分制は現在もカースト制度として存在してます。

ここでその現実を目の当たりにしてもらうためにあるドキュメンタリー映画を紹介します。第77アカデミー賞の最優秀ドキュメンタリー賞受賞作品です。

第81回アカデミー賞の作品賞を含む8部門受賞作品「スラムドッグ・ミリオネア」でもインドの現状は理解できると思います。ただこういう映画はどうしても感動ドラマと見てしまいますのでまた違った理解の仕方になると思いますが良い作品なので紹介。

という身分制度のとてつもなく厳しい現実があります。


そんな中で生まれたブッダの言葉とは・・・。


以下は本書より。


”仏教はブッダ以来、自分一人が悟りを得て救われればよいとする者では決してない。

手塚治虫が「人間の心の中にこそ神がいる」という言葉をブッダに言わせているのは「人間はその心の中に神を見いだすことによって救われる」とする根本精神を伝えようとしたのではないだろうか。

いま、大切なのは宗教としての仏教を詳しく知るより、ブッダの心を日常に照らし合わせて理解して幸福への道を探すことである。”

                                手塚治虫のブッダ救われる言葉 P211     


ということです。悟りだけにこだわるとオ○ム真理教の教祖のように悟ったと勘違いして、他人に対して抑圧的で高慢な態度をとってしまう。教祖様を崇めたところで何も解決はしない。そこに利益を生み出そうとしたり脅し、市場原理に合わない法外な支払いが要求されるとカルトになるので注意。


本書は”仏陀”の言葉というよりも、手塚治虫氏が創った”ブッダ”の言葉として読んでもらえると、マンガの挿絵付きでわかりやすく楽しい哲学書としても、真理を探究する助けにもなります。

漫画本の「ブッダ」は手塚さん曰わく「要するに1つのファンタジーなんです。作品として読んでいただきたい」と言っている。