「ミス・ポター」

ピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1)/ビアトリクス・ポター
¥735
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今もなおベストセラーとなっている児童文学書。

青い上着をはおったうさぎ、ピーターラビット。世界で一番有名なこのうさぎを生み出した女性こそが、ビアトリクス・ポターである。時は1902年、新世紀になってもヴィクトリア朝の空気が漂うイギリス。ポターのような上流階級の女性が仕事を持つことなどあり得ない時代。まさに異端児です。しかし彼女のは、幼い頃に湖水地方で出逢った大好きな動物たちの絵に物語を添えて、絵本として世に出すこと。

親がすすめる縁談を断り、アーティストとして生きることを目指しているのだ。ついに出版を引き受ける会社が現れ、ピーターラビットと仲間たちの物語はたちまちベストセラーとなる。


まず、オープニングのシーンに惹きつけられた。

それはポターが絵の具の色を水で薄めて調整しているところ。ここに人物描写はなく手元のみを映している。しかしその色の調整という繊細な仕草をみるだけでポターという人物を垣間見れる瞬間である。

透明の水たまりに絵の具の付いた筆を入れた瞬間、瞬時に絵の具の色が水たまり全体に広がる。それは、この世にビアトリクス・ポターというがまさに広がり始めるという予感を、見るものに感じさせるものであるようにも思えた。

この映画を見始めて思い出したのは「ネバーランド」というピーターパンの生みの親の半生を物語った映画。

こういう映画を観るとやはり、想像力の大切さ、継続は力なり、すべては計画通りに進んでいて、寸分のくるいもなくそのときに人は出会い、事が起こっている。だからそんな世の中で重要なのは自分を信じてやること、そして己自身であれ、いうこと。ときに親や他人の意見に左右されない生き方が望ましい。わが道を進むことはある種異端児扱いを受けますがその多くは成功している、その歴史は繰り返されているはずなのに世の大人は子供を常識の枠内に収めようとする。ということが上記映画では描かれています。

ただ、それは単にやりたいことをやるのではなく、人の役に立つことが大前提であるとは思いますが。



この映画の舞台はイギリス。個人的にイギリスという国には意識せず惹かれるものがあります。映画に関してはイギリス映画を好む傾向があるしその他、音楽、アート、イギリス訛りの英語、文化、人柄、土地柄も・・・なぜか惹かれてしまう。
それはさておき、この映画のもう一つの大きな見どころは、イングランド湖水地方での撮影が実現したこと。ポターが購入して農場を営み、遺言でナショナル・トラストに寄付したこの地は、今もピーターラビットの物語の舞台として知られ、世界中から観光客が訪れる人気スポットであるそうです。

その他、ロンドン各地、ホーム・カウンティ、マン島、オスタリーハウス、そして観光用に蒸気機関車を走らせるかの有名なブルーベル鉄道でも撮影を敢行、20世紀初頭の美しい風景が見事に再現されている、とのこと

海外旅行に対してさほど興味が湧かない私でも一度行ってみたい、と思わせる壮大な景色が心を平和にしてくれました。

ポターに興味がない人も劇中のその景色で癒されてもらいたい。するとその景色がポターという人物を見せてくれるでしょう。