ハンコ押すという行為

生徒用の印の方はというと5本完成。
そもそもなぜ印を作ろうと思ったか。

作品に「落款(らっかん)」(印)を入れるだけでガラッと雰囲気は変わります。書作品においては作品をグッと引き締めるというか、雰囲気は格段に上がります。黒と白の世界に赤い印。それだけで芸術作品!という感じがします。よね?
硬筆においてもそういった、作品仕上がった、という達成感だったり満足感を味わってもらいたという思いから今回の印の制作を始めました。とはいってもすでに子ども達は毎月の最終日に行っている”清書”を特別なものと認識し始めています。
最初はというと、みんなそろって清書って何?というところから始まったわけですが、今では年長さんでさえもその特別な意味を理解していて、当日になると早く清書がしたい!という声も出てくるほど。
そんな意識が生まれてきているのであれば、自分の印を自分で押す、ことでさらなる特別感を生み出せるのではないかと。
書画作品に落款(押印)するのはありふれたことですが、硬筆作品に押印するなんてことは私自身もしてこなかったわけで。ですからみんなしてハンコ押しちゃおうじゃないかと。それによって子ども達もこれまで以上に作品を作り上げることに対しての楽しみだったり緊張感、特別感、そしてよりいっそう作品に向き合う努力をしてもらえるようになればと願うところです。
考えてみれば、自分の作品にハンコ押すことって書道以外であります?あるかもしれないけどすぐに思いつかない。


印には、実印や認印といったように自分の分身という意味がふくまれていますが、それに加え書道における、つまり「篆刻(てんこく)」における「印」には書としての”筆意”だったり”美しさ”、がなければならないのです。
そんなことをふまえながら生徒の名前の最初の漢字一文字を篆書体で印材に刻しているところ。今月中に全員分の印を仕上げることを考えると、私の技量では一人一文字を刻すのが限界なのでそこのところはお見逃しを。
ちなみに篆書体とは古代の文字ですからなんのこっちゃわからない(子どもにとっては特に)字体ですが、現代に伝わる漢字の元々の姿を知り得る機会ともなるでしょう。

ということで、先月末に思いついた今回の企画。今月の清書作品はどんな感じに仕上がるのか楽しみでもあります。


「鉄筆で石に書く」の図


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