今月の硬筆課題の内容は・・・

今月の硬筆課題は何にしようか考えたけれども特になんにもなかったので過去のコトをつなげる作業から入り、そこからまた伸びた糸を辿っていき、たどり着いたのが養老孟司さんの言葉と、「星の王子さま」のキツネの言葉。なぜキツネなのかというと、前回の記事で悪者にしてしまったお詫びです。

先月の課題文は3月15日公開の映画「クラウド アトラス」の予告映像から引用してました。テーマはなんだったのかというと”つながり”だったわけですけれども、「星の王子さま」のメッセージも”つながり”であるわけです。「クラウド アトラス」の内容は入り組みすぎて難解なので批評家さん達の間では賛否両論だったとききますが、星の王子さまはあんなにも素朴で着飾っていない、なのに深い感動を与えてくれるシンプルイズベストな本。


同じメッセージを扱いながらも映画(といってもデイヴィッド・ミッチェルの小説を原作とする)とは真逆のタイプというところがなんとも面白い。でも「クラウド~」は異なる時代を舞台においた6つの物語で「星の王子さま」は6つの小惑星を舞台にというところはよく似ている。

表現する作者の信念は同じでも人間性の違いにより異なるようにみえてしまいがち。ウォシャウスキー姉弟は衰退している映画産業を盛り上げようとしつつ娯楽大作としてド派手に伝え、サン=テグジュペリは素朴な挿絵でメルヘンに、だけど現実的に静かに伝える・・・。どちらも詩的で幻想的で現実的だけど、前者はあらゆる技術を駆使した映像で全てを見せてくれる。それに対し後者の、「肝心なものは目には見えない」という、外見だけを見て物事の意味を理解できずにいる大人に対しての、そしてなによりこれから大人になる子ども達へ贈る言葉なんだと。

だからといって、ただメルヘンという表面的な部分だけ読み取ってしまうと、奥深くに込められている作者の思いは汲み取れないから注意が必要だったりもするわけで。


下のオリジナル版はすでに国内に出回っているものとは少し異なっているとのことですのでこれを機に購入してみよう。


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