目に見えないこと


モノの中身は目では見えない。

かんじんなことは目にはみえない。(『星の王子さま』のキツネ)


「大事なものは全部目には見えない。

目に見えないことが一番大事なことだと私は思ってるの」。(映画『100万回生きた猫』の佐野洋子さん)


これらの教えはずっと昔からたくさんの先人たちによってずっと昔から言われ続けています。なのに人間の目に見えないところはどんどん退化する方向へ自ら進んでいっている。


昨日の天声人語は、毎月末日に書かれる「今月の言葉」。

一緒に津波にのまれた母を亡くした高校生が政府主催の追悼式で述べた言葉。「私はあの日より、少しだけ強くなりました。」

現代短歌新人賞を受けた福島県いわき市に暮らす高木佳子さんの短歌「深くふかく目を瞑るなり本当に吾らが見るべきものを見るために」

そして最後に星の王子さまからの引用で、”かんじんなことは目に見えない”で締めくくられていました。


だからこの奥の見えていないところに真実がある。

その人が生きて来たその人だけの体験が最初にあって、それはその人だけのものであるけど、でもそれは全部他者とつながっていたりする。他者を変えようと試みたところでどうしようもない。誰かを変えたいと思ったその人が変わらないと相手も変わらない。つながっているから。


そして目に見えないものを、見よう見ようと求め続けても何も見えない。

今月の硬筆課題文には冒頭の「星の王子さま」のキツネの言葉と、養老孟司さんの「変わっていくこと。それが学ぶということ。知るということ。」

というのも入れていました、キツネと養老孟司さんは別モンだと思われがちだけどつながっています。


僕は教室では子どもに課題文の説明は一切していません。その説明はご家庭でしてもらえるのがいいなぁとひそかに思っている。ただ僕が教室でしていることは、時折子供達と談笑したりしている時に課題文の内容に沿ったことを中にはめ込んでみたりしている。でも子供たちに僕のその意向は伝わってないだろうし、そもそも無理やりに伝えるつもりもない。できるかぎり、”なんとなく”を大切にしたいと思っている。でもやっぱりそんなことをするのは、ほんとに時折だし、時間にも限りがあるからそんなに多くのことはなかなか上手くはできていない。だからお父さま、お母さまにやっていただきたいのが本音。


でも、これは子供相手だからできることであって、大人に対してこれをやってもほとんど効果はないと思う。俗世間で長く生きるということはそういうことで、大人は気づかないうちに洗脳されている。CMや新聞、テレビに書いていることを鵜呑みにし疑うことをしない。そこには目に見えない思惑が潜んでいる。全てには行動心理学やら脳科学やら、なんかいろんな、「~学」によって研究され尽くした人間の行動心理を基に、不安を煽りつつ安心を求めさせるといった仕組みがセットになっているから原始時代に戻らない限り逃れようがない。

そんな難しい時代です。だから地球も、一部の人たちもリセットする方向へ動いているのだと思います。